AIの中では、何が起きている?
12分しくみが少し分かると、うまくいかない理由を考えられるようになります。ここでは細かな実装を省き、文章と画像の生成を理解するための基本を見ていきます。
モデル内部の数値を調整
学習済みのモデルを使う
学習する時間と、使う時間
学習では、大量の例からパターンを捉えられるよう、モデル内部の数値を調整します。推論は、その学習済みモデルを使って、新しい入力に対する出力を作る工程です。料理の練習と、注文を受けて実際に作る時間を分けるイメージです。
会話の途中で例や条件を渡すと、その会話に合わせて出力を調整できます。これは、通常のチャット一回でモデル全体を再学習した、という意味ではありません。サービス側の履歴、メモリー、学習へのデータ利用設定も別々の仕組みです。
文章は小さな単位から作られる
多くの言語モデルは、文章をトークンという小さな単位として扱います。単語ひとつが必ず1トークンになるわけではなく、言語や分割方法によって変わります。与えられた文脈を手がかりに、次のトークン候補の確率を計算し、出力を続けます。
Transformerは、文章内の要素の関係を扱うAttentionという仕組みを中心とした設計です。2017年の論文が重要な出発点になりました。文章をただ丸ごと保存して取り出す、と考えるだけでは、その振る舞いを十分に説明できません。
『雨が降りそうなので、かばんに…』の続きを考えると、前の文脈が候補に影響する感覚を体験できます。実際のモデルは、はるかに複雑な文脈を扱います。
画像はどう作られる?
画像生成には複数の方式があります。代表的な拡散モデルでは、画像にノイズを加える過程と対応するように、ノイズを取り除いて画像へ近づける処理を学びます。文章などの条件に沿って、少しずつ画像を作るという見方ができます。
すべての画像・動画モデルが同じ仕組みではありません。生成中の過程が見えないサービスも多いため、特定の製品の内部方式を見た目だけで断定しないようにしましょう。用途に合った条件、参考画像、編集操作を使うことが実践では大切です。
検索・道具・エージェント
モデルに検索結果や自分の資料を渡して回答させる方法は、知識を補うために使われます。関連する資料を取り出し、生成と組み合わせる考え方のひとつがRAGです。ただし、資料を取り違えたり、資料を誤読したりすれば答えも誤るため、引用元の確認は残ります。
さらに、検索や計算やファイル編集などの道具を選んで、複数の手順を進めるシステムは、エージェントと呼ばれることがあります。どこまで自動で進めるかは実装によって違います。目的、成功条件、使える道具、途中の確認点を設計することが重要です。
15分の実験:文脈で答えは変わる
- 『文化祭の説明を書いて』だけで一度依頼する。
- 次に、対象・文字数・会場・見どころを含めて依頼する。
- ふたつの出力で、勝手に追加された事実がないか印をつける。
- どの条件が結果に効いたか、3つ書く。
条件の違いと出力の違いを対応させて説明できればクリア。
理解を確かめよう資料を渡すことと、AIを再学習させることは同じ?考え方を見る +
同じではありません。資料を文脈として参照することと、モデル内部の数値を更新する学習は別の工程です。
もっと知りたい人へ
- Attention Is All You Need Google Research / Vaswani et al. · 2017年のTransformer原論文 · 確認 2026-10-22
- Language Models are Few-Shot Learners Brown et al. / arXiv · 2020年のGPT-3原論文 · 確認 2026-10-22
- Denoising Diffusion Probabilistic Models Ho et al. / arXiv · 2020年の拡散モデル原論文 · 確認 2026-10-22
- Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks Lewis et al. / arXiv · 検索拡張生成の原論文 · 確認 2026-10-22